能登半島地震発生後、県から石川県建設業協会を通じて、防災協定により県内の各専門工事業団体に被災地の現状調査、状況確認、復旧活動実施プロジェクトチーム編成について要請がありました。
当連合会でも、現地調査の報告に基づいて、左官分野としての建物修復の作業計画を策定、神社仏閣や土蔵の補修に精通する県外の専門家の協力も得ながら、被害が最も大きかった旧輪島市・旧門前町(現在は合併して輪島市)を対象に、県内の左官業者のべ数十社の参加体制を組み、復旧活動に着手しました。
活動対象となったエリアには、造り酒屋の酒蔵、漆器業の蔵、寺院、古民家など、歴史を重ねた土壁づくりの建物が集積していることから、左官技術の本領が最大限発揮されることとなりました。
土壁の修復作業は塗りの工程が3段階に分かれるなど、一気には行なえないため、限られた人員の作業では相当な時間がかかりますが、工程をずらしながら作業の効率化を図るなどした結果、一部未だ修復途上のものもありますが、今回は発災後2年ほどで、ひと通りの復旧に至っています。
各社には、当然ながらそれぞれの仕事があり、災害復旧活動に携わっているといっても、本業に人員不足、納期遅れなどを生じさせることはできませんでした。そこで、手すきの会社に職人の応援を依頼したり、会社間のやりとりで日程を調整したりと、各社が協力しあって、それぞれが自らの仕事と復旧活動を両立させました。普段も、こうした協力が見られないわけではありませんが、今回の復旧活動を通じて同業者の連携がさらに強まったことは、歴史ある街の風景の復旧とともに得られた、貴重な成果と言えるでしょう。