中越地震の発生直後、国や県、市、さらには被災者からと、一斉に寄せられる復旧支援の要請に応じるためには、個別の企業が対応するのではなく、組織で対応する方が良いと、同社社長が理事長を務めていた新潟県板金工業組合が、組合員皆での支援を取り決めたことが、「支援隊」の活動につながります。組合が窓口となって相談や依頼を仕分けし、組合員を活用して速やかな応急措置をとる体制がつくられました。
地震の際、重い瓦によって屋根が損壊する住宅が多いため、同社をはじめ、「支援隊」の建築板金業者が担うことになる主な役割は個人住宅の屋根の応急措置。現場に小さなクレーンを持ち込んで瓦を撤去、「横引き工法」で新たな屋根構造物を短時間で架設する、というのが具体的な作業の段取りです。被災住宅では屋根の修繕が最優先とあって、中越地震の時は、大手ハウスメーカーから1ヵ月間の応援者の派遣、といった協力などを得ながらも、朝7時から夕方6時まで、フル稼働で復旧作業にあたる日々が、約3ヵ月間続きました。
中越地震の際には、支援体制の確立までに少し時間を要したため、その間に他県から入り込んだ業者が、被災者に法外な料金で復旧工事を持ちかける、といった混乱もありました。それらの反省も踏まえ、新潟県板金工業組合を中心に支援体制が再整備され、3年後の中越沖地震の際には、「支援隊」の活動はよりスムーズに、かつ問題なく行なわれています。
今後も、同社をはじめ県内各地の組合員相互の協力・応援体制をさらに強化し、発災時にすぐ出動できる体制を維持していく予定です。