工業系の学科が主体の那須清峰高校は、地域のニーズに対応した、即戦力となる技能者の育成に、ひときわ力を入れ取り組んでいます。
他の工業系高校との差別化を、との思いから、建設工学科の教員を中心に、圧接や溶接の技術への関心が高く、建設工学科長が、「地域産業の担い手育成プロジェクト」の一環として、平成19・20年度と、2年間にわたり同校でガス圧接をテーマに指導をしてほしい、と(株)大場工業に直接要請したことから、共和圧接工業(株)の協力も得て、この取組が始まりました。
指導は、同社の品質管理課長が講師を務め、アセチレンガスの取り扱い等に関する講義の後、「鉄筋のガス圧接に関する実技」、「圧接部の外観検査・非破壊検査」に取り組む3日間の日程で行なわれました。
“鉄筋ガス圧接業”は未だに業種として独立しておらず、全国的にみても専門業者のない地域もあるなど、まだマイナーな業種ですが、創業者(先代の社長)がガス圧接における第一号認定者であるなど、この技術に対する思い入れが非常に深い同社では、鉄筋ガス圧接業の認知を、社会の中で高めていくことも大きな目標として、生徒たちの指導にあたっています。
2年度にわたった「担い手育成プロジェクト」の後も、平成21年度には同校の民間講師招聘事業として再度同様の指導が行なわれ、平成22年度にも同事業による4度目の実施が予定されています。
指導を受けた生徒たちからは、大変興味が持てた、体験を今後に活かしたい、といった多数の感想が寄せられていますが、同社でも、毎年指導の機会を与えられることに感謝しており、講師役の社員は、「いい加減なことは教えられない」と教科書を読み直すなど、この技術への認識を新たにしながら指導に取り組んでいます。