札幌左官工事業協同組合の支援のもとに、札幌左官技能士会では古くから職人が研修を行なうための講習会を開催しています。その研修の一環として行なうモノづくりにおいては、社会に役立つ実用的なモノを、という意向から、擬木ベンチの製作が始まりました。製作されたベンチは、中島公園や円山動物園など、札幌市内にある市民や観光客の憩いの場に寄贈、設置されています。
北海道という地域の特性上、技能研修の機会は、雪と寒さのため左官の仕事量が大きく減少し、時間が空く冬場に多く設けています。そのため、この取組みを開始した昭和48年以来、毎年冬場に擬木ベンチを製作し、春を迎えた5〜6月に設置作業を行なうというのが、恒例のスケジュールとして定着、毎回若手から大ベテランまで、30名ほどの職人有志が集まって取り組んでいます。また、新たなベンチの製作、設置と並行して、これまでに設置したベンチの補修作業も継続的に行なっています。
平成22年6月には、6基の擬木ベンチを鉄興公園(西区)に寄贈し、円山公園では、過去に寄贈した120基の補修作業を行いました。これら一連の取組みに対して、札幌市からは、公園緑化に大きく寄与したとして、上田文雄市長名の感謝状が贈られています。
ベンチには、寄贈者についての案内が表示されていないため、取組みについて市民が知ることはほとんどありません。それでも、技能士会ではこの地道な取組みを、さらに若手を巻き込みながら長く継続していきたいと考えています。