銅像は酸性雨や鳥のフン等の影響で徐々に傷むため、定期メンテナンスとして塗装を施すことが望まれます。島根県庁前に立つ若槻礼次郎氏、岸清一氏の銅像についても、かつては島根県の予算で再塗装工事が行なわれていました。しかし、公共工事の予算削減のあおりを受けてその再塗装工事は13年間も中断、2体の銅像は、松江市の観光エリア内でもある県庁の前で、多くの人の目に惨めな姿を晒し続けていました。
(株)長岡塗装店はこの惨状を見かね、予算がつかないのなら我が社がボランティアで保護しよう、と銅像の再塗装に取組むことを決めました。この銅像には特殊な塗装が施されているため、行政としては競争入札での工事発注がしにくい、という状況があったことも、決意の後押しのひとつとなっています。同社ではその特殊な塗装技術を会長が遠い昔に習得しており、今回の取組みは社内での技術伝承、いう目的も合わせ持つことになりました。
2011年4月、地元テレビ局のカメラも見守る中、銅像の再塗装工事が行われました。会長をはじめとする同社社員たちが特殊塗料を塗り、布で磨きあげると、2体の銅像には美しい青銅色がよみがえり、おりしも開府400年を迎えた松江の街並みにふさわしい風格を取り戻しました。松江市は観光に力を入れていることもあり、同社は今後も公園施設等の塗装補修にも取り組んで、美しい景観の維持に少しでも貢献していきたいと考えています。